JM(13mm)の規格・呼称   2013.4.7追記
管理人は「JM」の呼称に賛同しています。

これまで、13mmゲージに関連する呼称・規格がいくつかありました。その概略を表にまとめました。

主な規格
タイトル
説明
13mmの開祖、白取剛氏
さんの規格(明記されて
いたわけでは有りませ
ん)
TMSの1958年3月号(No.117)に発表された作品に端を発する。そう言う意味では、13mmゲージ本来の規格と云える。但し、図面などが有るわけでは無い。
16番用として使われているNMRA規格HOの輪軸を、バックゲージ11mmになるように詰めたものと考えられる。
ニワ模型
「HOJ」
かつて、ニワ模型が13mmパーツを販売していた頃、カタログ等で使われていた呼称。日本型12mm・1/87製品が登場すると、紛らわしい事も有って、使われる事は無くなった。輪軸の規格は何度か変化していると思われるが、BG=11.5mm、タイヤ厚=2.3mm程度と思われる。
プロトサーティン規格
「PT規格」
スパイクモデルが制定した規格。
車輪の形状は何度か改良されているので、1つの形状を続けてきたわけでは無い。
2003年には、「13mmゲージ規格検討委員会」による規格に整合させて改訂された。
篠原規格(明記はされて
いません)
永らく、唯一の線路メーカーであった。今でも完成品ポイントメーカーとしては唯一。ポイントに関する規格が重要だが、明文化されているわけでは無い。
バックゲージ11.5mmの車輪は、フログと衝突するため、脱線する確率は高い。速度を下げて運転する必要有り。(管理人注記:その後の実験によると、バックゲージの違いより、車輪が薄く、フランジが低い事に起因する、フランジウェイでの「落ち込み」が脱線の主因と見ている)
2013/4/7追記:フランジウェイの深さが約0.6mmになっているとの情報。
TransPacific Railroad2013/4/4ブログより
IMON規格 道床付き線路、IMONギヤなど
ポイントは製品化されていないので、規格は特に無い。使われているレール部分は篠原製なので、スラックなどは篠原の規格が準用されていると見られる。
IMONギヤはMPギアの様に輪軸付きの組ギア。実測したところ、「13mmゲージ規格検討委員会」規格に合致している。
珊瑚模型の規格
お店のパンフレットに明
記されています
珊瑚模型独自の規格。BG=11.2mmなので、「13mmゲージ規格検討委員会」には、小改造で対応可能。2010/5/9追記:無改造でも、管理人の試作した「統一規格対応ポイント」の通過は可能。
13mmゲージ規格検討委
員会
「13mmゲージ規格検討委員会」なるものを2002年頃立ち上げ、既存の規格を見直して統一規格にすることを目指して制定された。背景は、後述。

TMS:No.712(2003年7月号)、RMM:(2003年7月号)
三河高原鉄道さんのサイトにその抜粋があります。2012/3/25現在のURL
http://homepage3.nifty.com/mkr/wheel_standards.htm
この他にも、エンドウ、ムサシノなどが13mmの車輪(車輌)を発売していますが、
規格は未調査です。



13mmゲージ規格検討委員会」制定の背景
雑誌などでは、結果を主に示しています、背景などは特にまとめられていません
ので、管理人の知る範囲で、制定の過程での議論の一部を示しておきます。
                   
当時ほとんど「唯一の13mm供給メーカー」であったスパイク殿の規格であるPT規格は、「元祖」のNMRA規格を改軌した車輪を主眼とした篠原製ポイントを通過できない(高速では脱線する)。と云う大きな問題を抱えていました。このため、篠原製ポイントを改造(チェックゲージを改修)したりする必要が有りました。メーカーとしても、統一規格が無ければ、製品化もままならないと云うことで、問題となっていました。このため、「13mmゲージ規格検討委員会」の発起人を募り、検討を開始しました。既存の車輪を改修可能な範囲で、外観と走行性を両立出来る規格を見いだすのが目標でした。斉藤晃氏の実証実験(RMMに掲載)を初めとする、数々の実績(合運などで、各種の改造車輪の走行実験を行いました)を踏まえて、提案しました。

●規格対応車輪
現在のスパイクモデル殿の製品は、この規格に合致した製品となっています。すなわち、現在のPTC規格はこの統一規格を採用しています。なお、スパイク殿の車輪は、この規格に整合させる前も、公差を除くとほぼ一致(踏面形状は若干違ったかも)していたはずです。公差が「0」で規定されていたので、理想状態に製作されていたら、旧規格の車輪も整合しています。ただ、現実には、バックゲージが11.5mmを上回るものが出荷されていた例が有り、修正を要するものが混入していました。価格から考えて、公差が0.1mm未満というのは難しいため、この統一規格では、バックゲージの公差のプラス方向は「0」としています。マイナス方向へのみ公差(0.2mm)を取ったのは、「元祖規格」や「珊瑚模型の規格」と近づける(改造を容易にする目的)ための配慮として提案しました。
2012/3/25追記
IMONギアも規格制定前の製品化と思われますが、PTC規格を準用しおり、BGも実測で11.45〜11.48mmと統一規格に合致していると考えられます。

●珊瑚製車輪への対応 2013/4/7誤記訂正
珊瑚模型殿(SS. Saloon情報 No.13)の車輪はバックゲージが11.2mmとなっています。統一規格とは、公差を配慮しても0.1mm狭いですが、スケールスピード程度でのポイント通過なら実用の範囲と考えています。どうしても気になる場合は、内側を0.05mmづつ挽いて改造すると良いです。これならドリスレールでも対応可能と考えています。厚みを始め、バックゲージ以外はかなり違いますが「なんとか両立する範囲」と云うのが規格を決定した背景です。

●元祖NMRA規格(#110)の車輪の改軌
さすがに、本来の「16番の車輪をそのまま改軌」するバックゲージ11mmの規格の車輪と両立するのは不可能です。しかし、KATOの車輪をバックゲージ11.3mm程度に改軌した場合は、ポイントのフランジウェイで浮きながらも通過可能で、実用範囲に収めることが可能です(もちろん、規格外なので保証は出来ません)踏面形状、軸受けの転がり性能、コストパーフォーマンスにすぐれたKATOの台車を捨てきれないジレンマを、なんとか救済する方便でも有ります。NMRA規格の現在の規格値はS−4.2をご参照下さい。2012/3/25日現在のpdfのURLは次の通りです。
   http://www.nmra.org/standards/sandrp/pdf/S-4.2%202010.02.24.pdf
この規格には、日本でメジャーな42インチ、30インチの規格は、HOには有りません。これは「偶然アメリカで作る人が居なかった」なのか「日本のために空けてある」のか、ちょっと興味有るところです。事情をご存じの方はぜひMAIL下さい。

●コメント
「13mmゲージ規格検討委員会」による「統一規格」の輪軸は、妥協した部分もあり、理論的には合わない部分も有るでしょうけれど、既存の車輪との折り合いにもバランスの取れた実用的な規格だと思っています。

三河高原鉄道さんのサイトに「13mmゲージ規格検討委員会」によってまとめた規格の抜粋が掲載されており、全文は、TMSならNo.712(2003年7月号)に掲載されています。
弊サイト管理人の賛同者の一人としての個人的な意見です。
委員会として、規格がまとまられる際の参考意見として提示したものを元にまとめました。
この全てが、公式見解となったわけでは有りませんので、ご注意下さい。


呼称
参考までに、各所での表記例をリストアップしておきます。 2009.5.7訂
●各誌上での表記
 「TMS」誌:13mm
 「とれいん」誌:JF (なお、1/80の16.5mmはJと呼ぶことを提唱している)
 「RMM」誌:13mm もしくは 1/80 13mm
●製品の表記例
 珊瑚模型:「13m/m」製品の箱、広告など。
 ワールド工芸:13mm 1/80(参考:製品に16番と明記している希有なメーカー)
 ムサシノ:「13mm」? 広告などで表記(箱はまだ見たことが有りませんので、分かりません)
 スパイク:「1/80 13oゲージ」製品表記 →「JM」に変更
 エンドウ:「13mmゲージ用車輪」製品表記
 アクラス:「13mm対応」? 広告など
●Web上
掲示板「狭軌の世界U」での結論:JM
「ジュユサンミリ」の頭文字、プロト・サーティーンクラブでのひとまずの結論です。クラブでの最終的な合意として、広
めていこうとしています。2010年の「こだま運転会」で広報されました。同時期に井門さんのブログ紹介されまし
た。モデルスIMONのサイト上にも「JM標記 趣意書.pdf」が公開されています。

なお、他に提案された表記案としては、標準軌の1/80 18mmをEM、 狭軌の1/80 13mmはTMにすると云う意見も
出ましたが、英国ですでに実績が有る別の規格の略称なので、混乱を招くとの反対意見が優勢で却下されたようで
す。
●その他の13mmゲージ、1/80
 ・On2は一般的に軌間13mmで作られています。細かい仕様は知りません。
 ・海外でも1067mmをプロトタイプとする鉄道は1/80で作られている作例が有るようです。
  台湾、インドネシア、南アフリカ(1065mm)
 ・アメリカ型でも小型車は1/80で作られている例が有るようです。
  小生が保有する、ブラジル製のボールドウィンタイプのコンソリは、各部が1/80になっているようです。
  併売している客車も、開拓史号の仲間たちの1/80とほとんど同じ大きさです。
    製造元:ブラジルFrateschi社
  これらのプロトタイプは、ブラジルのメーターゲージの保存鉄道との話です(Webでは確認できず)。
  モデルパワーブランドで発売されているものの中にも、これらのOEM製品が含まれているとの情報もあります。
  2013/4/7追記:客車はその後CON-CORブランドから再生産されています。
呼称や規格への賛否・議論は尽きませんが、そう云った歴史的な議論はあえて
本サイトでは行いませんので悪しからずご了承下さい。
(知識が無いため、ご了承下さい)

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