JM(13mm)ポイントの試作

  ハンドレイで13mm統一規格のポイントを作る 
公開:2010.5.9
追記:2010.5.10
訂正:2011.11.29

 これまで、市販のJMポイントは篠原のバックゲージ11.0mmに適合した製品しか有りませんでした。しかし、スパイ
クモデルを初めとした、バックゲージが11.5mmの車輪は、フログに衝突するなど脱線の危険が少なからず有りまし
た。そこで、統一規格のバックゲージ11.3〜11.5mmに対応するポイントを試作しました。

  09D09001_2400L.jpg

  今回は習作なので、篠原のポイントのコピーを印刷して、それを型紙にして設計を省略しました。
写真で黒く見えるのが「コピーされた枕木」ですのでお間違いなきよう。
写真は、下記手順の「5)」まで組んだところです。

作成手順1
1)適当な板きれに、コピーを貼り付けます。
2)プリント基板から切り出した枕木を、要所に両面テープで貼ります。
3)基本レールをまず半田付けします。
4)フログの角度を出して組み立てます。
5)組立済みのフログを、枕木に半田付けします。
6)これに合わせて、反対側の基本レールを半田付けします。

 なお、半田付けは18Wの配線用の小容量のコテを使いました。溶剤は配線用ペーストです。
30W以上の大きな容量のコテでは、銅箔が剥がれてしまいます。
最初は、出来るだけ「仮止め」にしておきます。

 なおトラックゲージはスパイク製を2つ使って軌間を確認しました。要所は、ステンレススケールやノギスで計測してい
ます。スラックは0.5mmを基本としてみましたが、多少誤差が出ている部分が有りました。最大の要所は、フログ部
分のガードレールです。チェックゲージを正確にする必要が有ります。スラックが大きすぎると、薄い車輪が落ちる恐れ
が有りますので要注意です。ゲージは、円筒形のものアメリカでは市販されていますので、13mm用を自作すると良さ
そうです。



 リードレールは、フログとの「通り」を確認しながら、半田付けします。

作成手順2
7)片側のリードレールを半田付け。
8)もう一方のリードレール半田付け。2011/11/29訂正
9)通りを再確認。
10)ガードレールの半田付け。


ここまで、作ったところで、実際に台車を通過させて、出来栄えを確認します。
大丈夫でしたら、トラックゲージで、レールをしっかり保持しながら、しっかり半田付けします。


 09D09008.JPG

このようにハシゴ状に組んだ、ポイントアッセイを、洗浄してから、路盤(コルクを敷いたベニア板)に固定します。
通電用のリード線半田付けしておきます。木製枕木を間に挿入して、バラストを撒いて出来上がりです。
この後に、ポイントマシンを設置します。



 09D09090.JPG 完成状態

 
 今回はDCC対応(全通方式)するため、フログ部分を独立させて、マシンの補助接点で切り替えます。
他の部分は「常時通電」としました。

 09D09091_2700.jpg DCCデコーダーとマシンの配線

今回は、DCC対応とすることに依って、ポイントマシンへの配線を省略しました。マシンへの給電も全てレールから取る
ことにしました。このため、配線はこの写真に写っている部分だけです。組立式レイアウトに、接続して運転するので。
コントロールボックスからの追加配線無しで、転換できるので、極めて楽にポイントを増設できます。


 運搬用収納方法
 
    09D09115.JPG


このように重ねて収納します

  09D09114.JPG


<試作ポイントの規格(目標)>
次の数値を目標に作りました。
但し、製作中に修正したりしているので、このままで良好な寸法となっている保証は有りません。
・両振り分け(Y形)の#5
・フランジウエイ0.95(+0、−0.05)
 実は、篠原の引き抜きレールをそのまま並べるとこの数値になります。
 今回作ったものは、0.9mmに近いです 試作品実測=0.95(1.0弱)
 なお、篠原ポイントは1.1程度、KATOのフランジ幅は0.9(フレット除く)〜0.95。
 ちなみに実物のポイントの1/80は約0.6mm程度と思われます。
・チェクゲージ12.1(+0、−0.05) 試作品実測=12.0〜12.1
 BG=11.3が通ること(出来れば11.2も・・・なので公差は少ない方向に取ります)
 チェクゲージは12.25弱になっているはず。ノギスでは測りにくい・・・
 通りを見て、ガードレール多少調整していますので、少し狭くなったかもしれません。
 12.0〜12.1の可能性が有ります。
・スラックは、スパイクモデル製のトラックゲージで自然に出来る量
  試作品実測=フログのあたりで0.4〜0.5ぐらい
  (試作品実測では片側はスラック少なめ0.1程度)
 →結果的に基本レール側のフランジウェイ相当部分は1.25程度有ります
  フログ側と幅は異なります。見慣れない人は、気になるかもしれませんが、実物
  も、同一では有りません。
・ガードレールの形状(公差)
  実物を観察すると、ガードレールは直線では有りません。確かに反りが有っても
  良いですが、フログの部分が重要なので、ここを一番広くするようにします。実物  
  は、篠原の線路に代表されるような、直線的なものでは有りません。また、高さも
  他のレールより高くなっています。今回は、同じ高さで作りました。
  今のところ、製品で高さを変えているのは、IMONの12mm用だけと思われます。
  走行性能は良好ですが、レールクリーニングの際にじゃまになるので、悩ましい
  ところです。また、プラ成形なので、消耗が気になります。
試作品実測数値2010/5/10追記
ノギスで測りにくい部分はノギスの精度より大きい計測誤差(0.05以上)が有ると思われます。


<十三クラブさんの改造ポイントの考察>
 実測していませんが、田中さんの篠原改造ポイントとはかなり数値が違うと思います。
田中さんのは、基本レール側のフランジウェイを狭くする方向で改造されて居られたと
思います。市販ポイント改造では、どうしても基本レール側のガードレールを改造するこ
とになりますから仕方有りませんし、BG=11.5だけをスムーズに通すには、この方法
で充分です。実際、KATO改軌をBG=11.0でやってしまうと、引っかかって全く走れませ
んが、バックゲージが11.5の輪軸は実にスムーズです。なお、KATOの輪軸をBG=1
1.2〜11.3で行うと十三クラブさんのポイントもスムーズに通過出来ます。私が、ここ
10年来、BG=11.2〜11.3で改軌して、十三クラブさんで試運転を重ねて来ました
が、この車両が統一規格用ポイントもスムーズに通せそうなことが実験レベルで確認出
来て安堵しているところです。理論的な詰めがまだ必要かもしれません。

<篠原のポイント>
 私見ですが、篠原のポイントは、現状では或る意味で合理的な規格と云えると思っています。なにせスケールスピード
なら、フログで落ち込みながらも、11.0〜11.5まで通過可能です。案外脱線もしません、これは、輪軸が線路に対し
て、案外「中央」を通っているためと思います。もちろん、復元バネなどで、極端に横圧が掛かるような先輪は別です。
篠原のポイントで脱線するのは案外、不用意な復元バネのためかもしれません。うちの機関車は、あまり復元バネをき
つく掛けていません。無いモノも有ります。


<篠原のポイントの弱点解消=私の試作の意図>
 しかし、篠原のポイントは、フログで落ち込むので、ちょっと興ざめです。またBG11.5の輪軸(と云うより薄い車輪)
ではスピードを上げると脱線することが有ります。改めて観察すると、フログに平面的な位置関係でぶつかるためと云う
より、落ち込んで飛び跳ねるために脱線しているのではないかと思います。適度にバネの効いたものやフルイコライジ
ングの車両は脱線しにくい傾向が有るためです。このため、フランジウェイを狭くして、落ち込みの少ないポイントを作っ
てみたわけです。

<実験結果>
スパイクモデル製の「統一規格」輪軸の車両は、全速でもフログにぶつかることは有りません。

実験追加(こだま運転会にて)
BG=11.0mmの輪軸の通過はかなり厳しいです。子細に見るとし、少しでも広い目(実測11.05)であれば、通過
は可能です。一方、実測10.95と僅かに狭いだけでも通過不可能となります。旋盤が無くても、ちょっとヤスリで当たり
を取る程度で、加工出来る範囲では無いかと思います。当初の目標どおりと云えましょう。


このページは、2009.9.16に運転会の展示解説用に作成した文書を元にしています。
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